コラム

思い切ってサステナビリティ格付融資にジャンプしましょう

DBJ評価認証融資のページに寄稿させていただく機会をいただいたので、この制度そのものについて、こうなって欲しい、という希望などを書きたいと思います。
私は、この数年、DBJの環境格付融資のアドバイザーとして意見を述べてきました。本稿では「この部分は期待として今後も変わらないだろう」と思うことを選んで要点を述べたいと思います。
企業は社会・環境・経済のすべての側面でバランスのとれた存在であることが求められる時代が来ました。
本稿はDBJの行員の皆様、またESG投資に関わっておられる方々、特にESG投資家から評価を受ける立場におられる企業の方々に読んでいただけたら嬉しく思います。

1.環境格付融資を「サステナビリティ格付融資」に転換して欲しい

DBJの環境格付は優れています。
まず優れているのは、評価のための人材を企業経営についての知見を含めてよく育成し、その調査員が企業に出向いて、経営層から現場の方々まで多面的に対話を行って総合的な分析をしていることです。
評価指標の設定に当たっては企業における環境活動はどうあるべきかの目標像が高く、高い視点に立ってエネルギー、資源、汚染について要点を押さえて企業評価をしています。
加えて、近年は人権を基盤とする社会側面、また、コーポレート・ガバナンスに評価の範囲を広げています。
要はすでにサステナビリティ評価をしているのです。
一方、目下の格付をサステナビリティ格付にそのまま転換できるかというと、環境側面にくらべて社会の側面がまだ少し手薄で、毎年の意見交換で「そこを厚くして欲しい」と申し上げています。
色々課題はあると思いますが、DBJは企業を育成する力を持っています。企業を継続して後押しする覚悟を持てば現在の陣容で充分に、環境格付からサステナビリティ格付に転換できます。
それによってDBJが社会に貢献できる度合いが高まります。

2.融資無しで評価だけして欲しい、という需要に応えて欲しい

本来は融資のための調査格付ですが、企業における資金調達は多様化し、また低金利も続いているので資金調達だけが目的であれば格付などの手続きは企業にとって面倒です。
一方、DBJの評価眼が優れていることは皆が認めており、「DBJに評価してもらいたい」という企業は多数あります。もしDBJが評価すれば深く分析されるべき企業が、融資がセットになっているために評価を受けないでいる、という現状は勿体ないことです。
上の項にも書きましたが、DBJの企業評価の陣容はまことに充実しています。
融資とセットのサステナビリティ格付もあれば、融資無しの格付けもありますという体制を作り、社会的に影響の大きい企業にも評価サービスを提案していただきたい、というのが私の希望です。
DBJがこれに乗り出せば、その見識と企業への影響力によってESG評価の世界に一石を投じるに違いありません。

2019年10月
※役職等は対談当時のものです。